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VE用語集

VE用語集

あ行か行さ行・た行・な行は行ま行・や行・ら行・わ行

※ 「VEの定義」が原点となるため、先頭に記載しています。


バリューエンジニアリングとは(VEとは)

バリューエンジニアリング(VE)の定義は、
「最小(最低)のライフサイクルコストで、必要な機能を確実に達成するために、製品やサービスの機能的研究に注ぐ組織的努力である」
である。

企業が生み出すモノ・コトの企画から使用、破棄までの全ての過程において、最小のコストで実現をし、顧客が必要としている機能(目的とその達成度)を確実に提供することが、VEの目的である。

このVEの目的を、機能的研究を活用し、組織的努力(=チーム活動)によって達成する。

「機能的研究(ファンクショナルアプローチ)」が、VEの最大の特徴である。
果たすべき機能を思考の原点にして問題解決をするのがVEである。機能の視点から問題解決を行うことにより、価値向上・価値改善の大きな効果を得られる。

なお、VEは”コスト削減”のための手法であると、誤った理解をされていることが多い。
これは大きな間違いであり、多くの人が誤った考え方・使い方をしている。

VEは、機能とコストの2つの視点から”価値”を追求する手法なのである。
VEでは、コストを増やしてでも、最大級の機能を果たすことができれば、これも価値が向上されたと考える。

このように、機能がどの程度達成できているのか、コストがどの程度かという2つの側面から”価値”が向上しているのかを評価し、問題を解決する手法なのである。

Blast・Create・Refineとは

米国のGE社のL.D.マイルズが提唱したVEの基本的な考え方。

Blast(破砕し機能に置き換え)、Create(機能に基づき新しいアイデアを創造し)、Refine(改善しようとするものを再構築する)という意味。

日本では、これをベースにし、推進しやすいようにVE詳細ステップとして活用している。

従来の方法を破棄して達成すべき機能に焦点を当て、機能を達成する新たなアイデアを想像し洗練させることの重要性を示している。

DTCとは

アメリカ国防総省が提唱したコスト管理策のこと。
Design To Costの略。
開発設計段階で厳しい目標原価を設定し、性能・原価・日程の間のトレードオフによって、システムをコントロールして、目標原価を達成しようとする管理の考え方。
このDTCの推進は、使用者が必要とする機能と目標コストの達成活動であり、最適な手段はVEである。
原価は、基本的な設定パラメータであり、開発設計段階と製造段階において不可欠な要素として継続して評価する。

ROIとは

Return On Investmentの略。
資本利益率や投資収益などと呼ばれる。
投資した資本(分母)に対して得られた利益(分子)の比率。
ROI = 収益(利益)/投資
VEでは、年間正味節約額をVE投資費用で除したVE投資倍率を同様の指標として用いている。

VE監査とは

企業方針に基づいて、総合的な観点からVEの適用方針、管理、実績などを評価すること。
監査は企業内の制度の1つとして確立し、所定の期間(普通年度ごと、期ごとなどの単位)に監査項目について基準を設け、これらに照らして合否の判断を行う。
合否の結果から、VE活動に対し、継続推進、さらなるVE推進などの決定をし、会社方針や予算策定に導き、VE活動の推進・発展に役立てることが大切である。

VE投資倍率とは

VEを適用した結果、投資額に対してどの程度の成果が得られるかを示す指標。
VE投資倍率は、次の計算式により算出される。
VE投資倍率 = 年間正味節約額 / VE投資金額
VE適用結果の評価では、チーム活動効率の評価の指標として用いる。

VE基本原則とは(VE5原則とは)

VEの考え方、方法論を活用するにあたり、その基盤をなしている不変の思考を体系化したもの。

VEの基本原則には次の5つがある。

(1) 使用者優先の原則使用者の立場に立つ
(2) 機能本位の原則機能を思考の原点にする
(3) 創造による変更の原則創造力を活用し改善する
(4) チーム・デザインの原則各分野の優れた技術を結集し改善する
(5) 価値向上の原則機能とコストの両面から価値を向上する

以上の基本原則は、VE活動推進時に必ず守らなければならない。

また、あらゆる場面で使える行動指針である。

Worthとは

機能評価値のこと。
VE対象の特定の機能を達成するための目標コスト。
VE実施手順の「機能評価」における「機能の評価」ステップで決定する。
現行コストとの相対比較により、価値の程度やコスト低減余地を求める際の基準となる。
最低コスト基準、あるべきコスト、F値と同義。
顧客にとって満足の得られるコスト。

アイデアの具体化のサイクルとは

VE実施手順の「代替案作成」ステップの詳細ステップである「具体化」において実施される。
価値の向上が期待できる代替案を作成するために、アイデアの利点と欠点の分析、欠点克服のための発想や調査、洗練化といった活動を粘り強く繰り返すプロセス。

一般情報とは

特定の製品やサービスに関係しない幅広い情報で、色々な場面やテーマに共通的に活用できる情報。
VE実施手順の「機能評価」と「代替案作成」で必要となり、機能評価値を決め、アイデアを発想し、具体化していく段階で必要となる、さまざまな技術やコストなどに関する情報である。
利用範囲による分類として、一般情報と特有情報に分けられ、さらに技術情報・コスト情報に分けて情報収集するのが一般的である。

価値の程度とは

VEの評価指標の一つであり、「機能評価」の中の「対象分野の選定」で算出される値。
次の式で算出する。
 価値の程度=機能評価値/現行コスト
機能分野別に算出され、コスト低減余地と合わせて、改善の必要性の高い機能分野の選定の根拠となる。
価値の程度が1未満であり、かつ、これが1より小さいほど価値の程度が小さいため、1に近づくように価値改善しなければならない。

価値標準とは(Value Standardとは)

「機能の評価」ステップにおいて、機能評価値を求めるための基準。
過去の実績をベースにした機能とコストの関係から算出する実績価値標準による評価と、理論から算出する理論的価値標準による評価などで使われる。
実績価値標準と理論的価値標準のいずれか、または双方を使用する。
実績価値標準による評価の方が、精度が高いため、できるかぎり実績価値標準による評価を使うことが望ましい。

機能定義とは

VE実施手順における最初の基本ステップ。
詳細ステップとして、「VE対象の情報収集」、「機能の定義」、「機能の整理」が実施される。
最大の目的は、VE対象が果たさなければならない機能、あるいは果たしている機能を明確にし、個々の機能の相互関係を把握すること。
アウトプットとして機能系統図が作成され、次のステップである「機能評価」において、対象分野を選定するためのインプットとなる。

機能的研究とは

問題解決にあたり、機能の視点から一連の体系的方法を適用していくVE特有の考え方。
VEは、組織的努力により、機能的研究を行い、価値改善の大きな効果を得られる手法である。
これを着実に実施するものが、VE実施手順であり、VE5原則に則り、VE活動を推進する。

機能評価とは

VE実施手順における基本ステップの第2段階のステップである。
「機能別コスト分析」、「機能の評価」、「対象分野の選定」の3つの詳細ステップを指す。
3つの詳細ステップにより、どの機能に問題があるのか、各機能の達成に現在いくらかかっているのか現行コストを分析し、その機能を本来いくらで果たすべきかの機能評価値を設定し、価値の低い機能分野を選定する。
効率的なVE活動実施のため、価値改善の優先順位を決定し、改善への動機を得る活動。

機能評価値とは

VE対象の特定の機能を達成するための目標コスト。
VE実施手順の「機能評価」における「機能の評価」ステップで決定する値。
現行コストとの相対比較により、価値の程度やコスト低減余地を求める際の基準となる。
最低コスト基準、あるべきコスト、F値と同義。
顧客にとって満足の得られるコスト。

機能分析とは

VE対象について、果たすべき必要な機能、ないし、それが果たしている機能をよりどころに各種分析を行うこと。
この分析は、機能的研究をもとに行われ、他の改善手法(IEやQCなど)とは違う、VEの最も特徴的な改善技法である。
機能分析は、VE実施手順の「機能定義」および「機能評価」のステップで行われる。

※ VEはステップが多いと言われることがあるが、これは分析を重視し時間をかけているためである。

機能分野とは

機能系統図における、ある特定の機能を目的とした場合の下位機能のまとまり。
機能分野の目的は、VE実施手順における「機能評価」や「代替案作成」において、機能分野単位で価値の低い機能を選択し、より価値の高い代替案を作成するため。

基本機能とは

ある対象の果たすべき複数の機能のうちで、その機能を取り去ったら、その対象の存在価値の無くなる機能。
VEでは、最上位の機能である基本機能をVE対象にし、VE活動を推進すると最大級の効果が生まれる。
また、基本機能を達成するための手段的、かつ補助的な機能を二次機能という。

共同VEとは

複数の組織体からメンバーを出し合ってチームを編成してVEを適用すること。
VEの適用によって得られた成果は、相互に分け合う。
共同VEの適用においては、チームの運営、成果の配分などを関係者間で事前に合意することが必要である。
VEの効果拡大や手法の浸透といった効果なども得られる。

現在価値とは

発生時期の異なる貨幣価値を比較可能にするために、将来の価値を一定の割引率を使って現時点まで割り戻した価値。
VEの代替案は、将来に向けて実施される。
「詳細評価」のステップにおける経済性の評価でのコスト見積もりは、代替案の実施時点での未来コストとして算出される。
この値を現在の価値に置き換えた価値が現在価値。

コストテーブルとは

コストを迅速かつ正確に評価できるように、あらかじめ使用目的を明確にし、様々な特性や要素に対応させて、発生するコストを見積もり、それを図表など目で見てすぐに分かる状態にまとめた資料などのこと。
VEでは、機能評価時に、機能評価値などを評価するための実績価値標準による評価や理論的価値標準による評価などで活用される。

シネクティクス法とは

「代替案作成」の「アイデア発想」で用いられる手法の1つ。
異なっていて関係のないように見える要素を関連づける類比のテクニックを活用してアイデアを発想しようとする技法。
アメリカのW.J.J.ゴードンにより開発された。
類比の種類としては、
・直接的類比
・象徴的類比
・人格的類比
がある。

重点機能系列とは

機能系統図において、顧客や使用者の要求を達成するための設計着想や構想を決定づける機能の系列のこと。
機能の評価や代替案の発想の重点となる機能の系列となる。
重点機能系列にある機能の達成方法が変化すれば、補助機能系列も変化する。
「対象分野の選定」では、価値改善の対象として選定すると、より大きな改善効果が得られる。

消費による配賦計算とは

構成要素の実態を詳しく調べ、ココの機能の達成に、どんな資源が、どれだけ消費されているかを評価してコストを見積もり、その機能が関係する機能分野にコストを配賦する方法。
VE実施手順の「機能別コスト分析」ステップで使用する現行コスト配賦計算方法の一つ。
他の配賦計算方法には、貢献度評価による配賦計算、均等割による配賦計算などがある。
消費による配賦計算は、より精度が高いため、最優先に使用すべきである。

ジョブ理論とは

消費者の「ニーズ」を的確に捉えるための方法論のこと。
アメリカのクレイトン・クリステンセンにより提唱された。
VE5原則である「使用者優先の原則」における”使用者”を、ジョブ理論では”ジョブ履行者”と定義している。
また、VEにおける”機能(ファンクション)”を、ジョブ理論では”ジョブ”として分析のよりどころとしている。

本用語は、VE用語ではないが、様々な場所で「ジョブ理論」を見かけることが増えてきたため、取り上げた。

制約条件とは

機能をどの程度、どのように達成する必要があるのかを示す定量的な条件。
制約条件には、使用者の要求として提示されるものと、開発や設計において技術上付加するもの、法律や規格など社会的に守ることが義務づけられているものとがある。
制約条件は、「必要な機能を確実に達成する」というVEの定義における「確実に」という内容を意味する。
具体的には、品質、性能、寿命などが挙げられる。

組織的努力とは

個人の知識や能力は限られることから、各専門分野の優れた知識や技術を結集し、問題解決に専念するチームの編成と、そのチームを活用する努力のこと。
VE5原則の「チーム・デザインの原則」に則った考え方である。
クロスファンクショナルチームや大部屋制度なども組織的努力の一つである。

年間正味節約額とは

「詳細評価」ステップで経済性評価の結果として得られる値。
代替案の適用によって得られる経済効果を示す指標の1つ。
年間正味節約額は、次の計算式により算出される。
年間正味節約額 = (単位あたりの現行コスト – 単位あたりの代替案コスト) x 年間適用数量 – 経常外コスト
VE活動によって得られた代替案の採用によって、1年間で期待できる正味のコスト節約効果のこと。
従って、年間正味節約額が大きいほど好ましく、この値と技術性評価の結果によって、総合評価がなされ、「詳細評価」ステップの結果として代替案が選択される。

必要機能とは

使用者や顧客が必要とする機能。
機能の分類の1つで、機能の必要性から見て必要機能と不必要機能に分かれる。
VEは使用者が要求する機能を明確にし、最低のライフサイクルコストで達成させるための手法である。
この使用者が要求する機能が必要機能。
VEでは、不必要機能を削除することが重要。

埋没原価とは(埋没コストとは)

過去の意思決定により、固定資産や開発費などへ資本投下したものの、現在または将来の事業目的に適合できず、回収が出来なくなった原価。
代替案選択の意思決定において、比較する案の優劣には関係しない。
VEでは、「詳細評価」の経済性の評価で使われるが、VEの効果算出からは除かれる。
また、一般的な経理用語である。

ライフサイクルコストとは(LCCとは)

対象テーマの開発から設計、調達、製造、販売、使用、廃棄に至るすべての過程で発生する総コストのこと。
Life Cycle Costの略。
VEでは、必要な機能を達成するために費やされるすべてのコストを最低にすることを目的にしており、このことをVEの定義ともしている。
必要な機能目標の達成と一体化して取り上げる点が一般的に言われる原価低減と一線を画する。

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